関谷正史さん
岡山県笠岡市北木島町の
鶴田石材株式会社に勤務されています。北木島で明治時代から現在まで続く唯一の採石場で石と真剣に向き合い採掘をされています。現在は笠岡市にご家族と住み、職場がある北木島まで毎日フェリーで通勤されています。
ー北木島で石の仕事をされてどのくらいですか?
この4月で8年ですね。この仕事の前はアイスクリームやさんでした。原材料を仕込んだり、製造管理をしていました。出身は山口県です。結婚して、奥さんの実家の方に来ました。
(展望台に上がって)
ー高いですね!
展望台から、下まで高さ60mくらいあります。
展望台が海抜30mくらいの高さですから、一番下の作業をしている場所は、海よりも低い場所になるんですよ。
底が池のようになっていますよね。あそこは深さが3、40mくらいあります。もともと石を取っていたところに雨水がたまりました。島全体が大きな1つの花崗岩で出来ていて、その一部をくり抜くように石を切り出しているため、雨水がたまるんです。何年か前に鯉を離して、今でもたまに水面に上がってきますよ(笑)
ー採掘の現場まではどのように行くのですか?
現場に降りるのは、はしごです。朝、降りて…昼になったら上がって…休憩が終わったらまた降りて…夕方まで下にいますね。フェリーで笠岡からここに通っているので、フェリーの時間に間に合うようにみんなで仕事をキリのいいところまでやって止めて、上がって…という感じですね。あ、トイレに行く時は上がります(笑)
ー 大変なことはなんですか?
冬は動けばあったかくなるのでいいのですが、真夏はちょうど12時くらいに太陽が真上に上がって2時ごろまで日陰になるところがないのでむちゃくちゃ暑いです。(倒れそうで)あぶないです。夏も基本、素肌を出さないで首がある長袖きて作業をしています。ここは地形的に盆地なので、上の方を見ると木がゆれてるので風もふいてるんでしょうが、下まではこないので…。あと、火傷ですね。石を垂直方向に切り出す際に、ジェットバーナーを使って、石を炎で焼き切ります。その時に、熱を帯びた石粉が服の隙間から体の中にポーンとはいってきて皮がベローンです。これはなかなか防ぎようがないんですが、まぁ自分にとんでこないように、腕磨けということですね。
ー どんな時に仕事のやりがいを感じますか?
石を綺麗に切り出すのって、結構大変なんです。同じように作業をしていても思うようにできない時もあるんです。なので、本当に豆腐を切る時みたいにきれ〜な断面で石が切り出せた時はすごく嬉しいです。なかなか出るもんじゃないですからね。
ー 豆腐!今までに何回くらい豆腐みたいに切り出せたことがありましたか?
本当にすごくきれ〜な時っていうのは働いているうちの7年間で数回だけです。なので、その時は仲間で「よしっ!」と喜び合います。
でも、なかなか、思うようにいかないことが多いです。うらぎられることも多いです。僕たちは地球を相手に仕事していますからね。
インタビュー:2020年1月