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石の島コラム

小豆島 / 「せとうち石の島」で自由研究

石の島コラム
小豆島 / 「せとうち石の島」で自由研究


-小豆島町池田公民館で夏休み中の子どもたちに向けて石の自由研究会がありました。こちらは自由研究をサポートしてくれる会で、6人の子どもたちが集まりました。講師を務めるのは、小豆島町役場商工観光課で学術専門員の川宿田好見さん。まずは池田公民館に集合し、どんな自由研究にしたいか相談しました。その結果、石を拾ってキャンバスに貼るグループとフィールドワークを新聞にまとめるグループに分かれました。



川宿田さんは2013年に小豆島町の学術専門員に就任しました。小豆島に来る前には考古学の研究者として鹿児島のさまざまな離島でフィールドワークした経験もあるそう。フィールドワーク経験豊富な方が直々に石の自由研究をサポートしてくれる、なんとも豪華な公民館の教室!



さぁ、まずは日本遺産の構成文化財でもある池田の桟敷に向かいました。池田の桟敷とは秋祭りの見物のために利用される野天桟敷のこと。高さは18メートル、全体の長さは80メートルにわたります。昭和45年(1970)の大阪万博のメイン会場である「お祭り広場」のモチーフにもなりました。



石積みをよ〜く見て「どんな色?なんの石?」などみんなで観察。


桟敷を駆け上がっていく子どもたちもいました。みんな暑くても元気!



鳥居は部分によって石が異なるのです。


柱部分は花崗岩、下の土台の石は安山岩で、その柱と土台の隙間には固めて安定させるためにコンクリートが使われているよう。


浜の砂の色もチェック。

続いては神浦の浜に向かいました。



小豆島の三都半島ではマントル直結安山岩により黒い浜を確認できます。ここではマントル直結安山岩というマグマが花崗岩に貫入している境界を見ることができます。1980年代には権現崎で安山岩の成り立ちを理解する重要な場所だと認識されました。どのように大陸ができたのか地球規模の謎を解く大きな鍵となる場所で、世界の地質学者から注目されるジオサイトなのです。


川宿田さんが子どもたちに「なんで石が黒いと思う?小豆島で火山が噴火したからなんだよ」と伝えると、「えー!!!」と驚く子どもたち。「小豆島は火山の島」とメモしていました。


手でつまむとポロポロと石が崩れる岩場に驚く子ども。こちらは花崗岩です。



子どもたちにはマントル直結安山岩の説明は難しいので、石や浜がどんな特徴をしているか見つめて、ことばに表現し、メモを取る、ことを体験させてあげていました。



石拾いチームもいろいろ拾えたもよう。いろんな色、形の石や貝殻、シーグラス、イカの骨など。



拾った石を並べて見てみたり、石切りをして遊んだり。


さぁ、公民館に帰って来て、メモをまとめていく班、拾ってきた石をキャンバスに貼り付けていく班に分かれました。みんなの発表はどんな風に仕上がるのでしょう。





最後に、川宿田さんに自由研究会を開いた感想を聞きました。
「小豆島に住む子どもたちだからこそ知ってもらいたい石の文化があります。自分の目で見て、考えて、言葉にする過程を、「小豆島の石」をテーマに自由研究という形でに取り組んでもらえてとてもいい機会になったと思います。来年もなにかこどもたちと取り組めるように企画したいと思います!」

身の回りにある宝物にみんなで楽しく触れる時間。小豆島でのあったかい思い出の一つになってほしいですね。






記事作成:2024年8月





<筆者プロフィール>


坊野 美絵。大阪生まれ。2013年に香川県小豆島に移住。文と写真で魅力を伝えることを大切にライターとして活動中。香川県を中心に観光・医療・事業承継・農業などテーマはさまざまに取材記事を書いています。

Web Site: 文と写真
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