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Shima愛!

小豆島 / 小豆島産の石にドット・アート

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小豆島 / 小豆島産の石にドット・アート

「せとうちのしま DOT ART」 なかがわゆきこさん



島の海辺で拾った石に描かれたドット・アート

-「最初は曼荼羅の塗り絵から始めたんですが、飽き性なのですぐ飽きて、次は塗り絵のイラストを見ながら曼荼羅を描き始めました。でも、曼荼羅を描くこともあまり続かなかった。その流れで見つけたのがドット・アートでした」

香川県小豆島の『二十四の瞳映画村』内にある『万屋(よろず屋)』を訪ねると、ワインボトルやレコード盤、瓦などさまざまなものに描かれたカラフルなドット・アートが展示されていた。このドット・アートを描く小豆島在住の作家、なかがわゆきこさんは、使われなくなったものや、海辺で拾った漂流物、石などにドット・アートを描き作品制作をしている。

無心になり没頭できるドット・アート



「せとうちのしま DOT ART」のなかがわゆきこさん

なかがわさんは小豆島生まれ小豆島育ち。ドットアートを始めたのは2018年頃で、体調不良になったことがきっかけだった。体調が回復していく中で「なにか始めよう」と、編み物や縫い物などいろんなハンドメイドに挑戦する中でドットアートにたどり着いた。

-「最初は曼荼羅の塗り絵から始めたんですが、飽き性なのですぐ飽きて、次は塗り絵のイラストを見ながら曼荼羅を描き始めました。でも、曼荼羅を描くこともあまり続かなかった。その流れで見つけたのがドット・アートでした」

なかがわさんが感じるドット・アートの魅力は没頭できることという。

-「ドット・アートは無心になれるんです。デザインすらも頭で考えずに、感覚的に描ける。瞑想のように頭の中を真っ白にして過ごせるのが好きなところです」

ドット・アートを描く際に使う道具

ドット・アートを描いていく際、なかがわさんは下書きなしでフリーハンドで制作していく。

-「コンパスで円を描いて放射線上にラインを引き、その上にドットを描いていく方法もあるんでけど、私は下書きの上にドットを描くと絶対曲がってしまうんです」

画材はアクリル絵の具だ。大小さまざまなサイズのドットを打つことができるペンを使い分けて描いていく。シンプルだけれど、色、大きさ、模様、配列などでガラッと印象が変わり奥深い。

ドット・アートを続ける中で気づいた石の魅力


何通りにでも表現できるドット模様

子育て中はなかなか自分の時間を取れなくなっていたものの、子育ても落ち着いた今、SUPやお遍路などアクティブに島の自然を楽しんているなかがわさん。ドット・アートをきっかけに石を探しに島の浜辺もよく歩くようになった。浜辺によって大きな石がごろごろあるところもあれば小石が多いところもあり、それぞれに特徴があるという。

-「私は丸っこい石が好きで、角が取れて丸い石を探しています。ちょうどいい石が意外と見つからないんですよね」

自己満足の作品づくりから展示やワークショップを依頼される作家に


ガラスの球体に白色のみで描かれた模様が美しい

作品づくりを続ける中で、展示の誘いを受けたり、ワークショップの講師として呼ばれたりと、あれよあれよという間にいろんな機会が舞い込んでくるように。

-「当時は自己満足で作っていたのですが、Facebookに作品を投稿していると、繋がっていた人の中にたまたま、香川県庵治町にある歯アート美術館に勤めている方がいて、展示のお声がけをいただきました」

ワークショップではドット・アートを描く楽しさに目覚める参加者を増やしている。
-「同じ柄を描いても色遣いなどでそれぞれに個性が出て、全く違う作品になるんですよ」

石のコースターやアクセサリーを制作


小豆島産花崗岩にドットを描いたコースターとペンダント

小豆島にある石材会社『西山石材』と連携し石のペンダントやコースターを制作し地域おこしにも協力している。大坂城の石垣にも使われた小豆島の花崗岩にドットを描いた。今まで石に描くときはドットの模様が目立つように、石に黒く下地を塗って模様を描いていたが、要望があり、石に下地を塗らずに石の模様を残したまま、ドットを描くことに挑戦した。

-「石によって白黒系のものがあったり、黄色系のものがあったりします。どの色が合うのか選ぶのが難しくもあり、楽しかったですね。」

いつか自分の店を持ちたい


二十四の瞳映画村の万屋での作品展示

2020年からは二十四の瞳映画村内での作品展示を継続している。古い木造建築の中に溢れる、使われなくなった学校の椅子やギターなどあらゆるものに描かれた作品の数々。作品をよく覗き込むと、とても繊細に並ぶドット模様に「なんと骨が折れる作業なんだ」と驚いてしまった。

二十四の瞳映画村内のブックカフェ書肆海風堂(しょしうみかぜどう)でなかがわさんの作品を販売中

石のコースターやアクセサリーなどは二十四の瞳映画村内のブックカフェ『書肆海風堂(しょしうみかぜどう)』で販売も。そのほか、島内では『西山石材』、『菓舗ふじさわ』、『おにくやさん岡崎』でも販売中と、島のあちこちでなかがわさんの作品が活躍している。

最後に、今後やりたいことについて聞いてみた。

-「いつか自分の店を持ち、作品の展示販売をしたいと思っています。自分の作品を展示するだけでなく、島内のいろんな作家さんに使ってもらえる場所にしたい。島内はもちろん、島外の人にも私の作品をもっと知ってもらいたんです」といきいきと話してくれた。

-「ワークショップはいろんな人と出会えるのが嬉しいです。教えることは得意ではないけれど、参加者が自発的に参加され、すごく熱心に取り組んでくださるので面白いです。作業とは関係ない他愛のない会話も楽しいんですよね」

ドット・アートを始めたことで自身が描くカラフルな模様のように、どんどん日常に彩りを広げるなかがわさん。島の石や、漂流物、使われなくなったものを使って、次はどんな模様が生まれるだろうか。


インタビュー:2024年3月



せとうちのしま DOT ART なかがわゆきこ
Instagram: https://www.instagram.com/yukikonkon.001/





<筆者プロフィール>


坊野 美絵。大阪生まれ。2013年に香川県小豆島に移住。文と写真で魅力を伝えることを大切にライターとして活動中。香川県を中心に観光・医療・事業承継・農業などテーマはさまざまに取材記事を書いています。

Web Site: 文と写真
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