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石の島コラム

お城みたいな「尾上邸」はヤバくてデカいだけではなかった~さあ、島で泊まってお茶しましょ~

石の島コラム
お城みたいな「尾上邸」はヤバくてデカいだけではなかった~さあ、島で泊まってお茶しましょ~
香川県丸亀市の沖合にひっそり浮かぶ “さぬき広島”。その小さな島の人口は約150名。ただそんな島には、島のスケールからは考えられないようなひと際大きな屋敷があります。
その名も「尾上邸(おのえてい)」。まず尾上邸を支える石垣はもはや城を彷彿させる高さがあります。加えて、建物の佇まいに目線を移すと、江戸時代から廻船業で財を成した当主・尾上家の趨勢(すうせい)を偲んでしまうほどです。
さて、そんな豪壮すなわち“ヤバくてデカい”この屋敷は2021年に地域NPOが運営する宿泊施設に生まれ変わりました。そして本稿は、島に暮らす移住者で地元地域活性化協議会のメンバーでもある筆者が、北海道からやってきた友人をそんな尾上邸にご案内!した様子を記したものです。
というわけで、これを読んだら島で泊まってお茶しましょ。


外観だけでもヤバくてデカい


バカみたいな表現と思われた方、マジでヤバくてデカいです。
その雰囲気はもはや正門までの道を歩くだけで感じ取ることができます。特に高さ4.5mもの石垣はまるでお城のような迫力です。


島の特産品である青木石が使用されている


石垣に圧倒されたのか硬直する友人・萌さん(普段は北海道弟子屈町で地域おこし協力隊として活動中)

この道を進んで辿り着くのが尾上邸の真正面。振り返って海を望めば、方角は南。そのおかげで日中はここで日向ぼっこしたくなるほどの明るさです。ちなみに我々は12月の午前中に訪問させていただきました。


夏は青々とした緑とのコントラストが美しい

尾上邸に潜入開始!


いよいよ門をくぐって、いざ突入!


尾上邸・正門

目指すはあの障子の向こうに違いない!

障子の向こうは不思議の町ではなく、ザ・和風の厳かな空間でした。といっても暗くて天井が低いなんてことはなく、もはや土間の抜け感には爽快感すら覚えるほどです。


吹き抜けが美しい土間
玄関は島の情報や尾上邸にまつわる資料のギャラリースペース

さてそんな土間で靴を脱いで上がった先が、施設のメインでもある宿泊スペース。尾上邸は現在、1日1組限定(定員5名)の宿として来客を受け付けています。そんなスペースには和室が2部屋に、板間が3つ。
落ち着いてシックな印象の板間ではゆっくり談笑したり、昔ながらの火鉢を使って昔体験したりするのがおすすめです。


板間にある火鉢

そしてお昼寝したくなったらお隣の和室へgo。どこか懐かしい8畳の和室には縁側から日光が差し込み、自然と眠気が込み上げてきます。



和室での写真撮影に付き合わされ、案の定「なんか眠いんですけど」とつぶやく萌さん

宿泊スペースはそのほか、地べたに布団が辛いという高齢者でも安心のベッドルームや最新式のダイニングキッチンやトイレ・風呂も完備。なお食事は食材持ち込みでの自炊や島のおっちゃん・おばちゃんとの料理体験等を選ぶことができます。


ベッドルーム(就寝時はベッド2名、布団3名に分かれての利用になる)


かまどでは島のおばちゃんとお米を炊く体験ができる

実は小物も可愛いのです


ではここらでちょっとブレイク。とにかくヤバくてデカいとは言いましたが、実は一方で小さくてかわいいものもありまして。我々が出会ったかわいいものを少しばかりご紹介。


ミニ尾上邸。誰が書いてくれたんですかね?


レトロなグラスやカップ。筆者は特にガラスのグラスがお気に入り。


何を入れていたのやら。ちなみに一入は「ひとしお」と読み、尾上家の屋号だそうです。


まさかの場所にあるもちつき道具。チョークの丸文字がかわいい。

皆様も尾上邸で探してみてくださいね。
ではそろそろ閑話休題。ここからはお茶の時間にいたしましょう!


せっかくなので尾上邸の下駄に履き替えて外へ向かう

庭、通路、その先に・・・


お茶をするといっても広い敷地内。さて、どこでお茶にしようかしら。そうして戸をくぐった先にあるのは広い庭。正門同様に南側から日が差し込むのでとっても暖かい空間です。ここでお茶にするのも悪くないかも・・・。てか、改めて見ると庭も建物もヤバくてデカいんだな。


庭から眺める尾上邸の母屋


縁側で庭を望む

ちなみに宿泊客は庭でBBQを楽しむなんてことも!BBQセットは事前に伝えておけば、炭等も含めてレンタルすることが可能です。
そんな庭に後ろ髪を引かれながらも、建物脇にある通路を進みます。すると、奥に何やらもう一つ建物が・・・


薪の保管スペースが通路右手に見える。ちなみに、尾上邸では現代的なバスルームとは別に薪で炊く五右衛門風呂も用意されている。

なんとそこにあったのは、お茶室でした。


母屋の裏にあるお茶室は2022年に改修され、客人をもてなす空間としてのみならず、島の画家さんの展示スペースとして利用されたことも。この茶室には小さなカウンターがあり、そこでゆったりとお茶やコーヒーを淹れることができます。


茶室全容

筆者のおすすめは建物右側の窓。


落ち着く明るさの室内で窓越しに緑を感じていると、なんだかコーヒーやカフェオレが飲みたくなります。
またこのマグカップにもご注目。これらは隣島・手島で活躍する「手島陶苑」の作品です。手島の土や植物にこだわって作られたというこの器。そのおかげか、えにも言われぬ温かみが手に伝わってきます。作品とはいっても、使用も可。ぜひ、こちらに飲み物を注いで使ってみてくださいね!

ヤバくてデカいだけではない尾上邸


ご紹介してきたヤバくてデカい尾上邸。ただこの記事を読んでいただいた皆様はもうお気づきですよね?すなわち、尾上邸にはヤバくてデカいだけではない魅力も沢山あります。
そんな尾上邸に1泊して、ゆっくりお茶なんていかがでしょうか?

小さな島の大きな屋敷があなたの来訪を待っています。


<尾上邸について>
・所在地
香川県丸亀市広島町立石443
・宿泊予約(料金・予約状況等はHPをご確認ください)
①公式HPより予約:https://onoetei.wixsite.com/official
②NPO法人石の里広島にTEL:0877-29-2332
※なお土日祝は受付対応不可のため予約はHPより、問い合わせはonoetei@gmail.comへのメールを推奨
・アクセス
①丸亀港よりフェリー(40分)、旅客船(20分)で江の浦港へ移動
②江の浦港からはスタッフが送迎(なお徒歩の場合は30分程度)
★尾上邸は一人500円で見学も可能です(事前予約必須)

<筆者プロフィール>
唐﨑翔太
1995年生まれ、大阪府出身。北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院観光創造専攻修了(観光学修士)。2020年4月にさぬき広島に移住し、農家民宿&ゲストハウスである島旅農園「ほとり」を開業。現在は宿業のオーナーである以外に、①島伝統の唐辛子「香川本鷹」の生産者、②丸亀市内の貧困家庭向け児童支援施設とタイアップした「お金の学校」の講師、③香川県の地域ライター④香川県庁・丸亀市役所委嘱の移住相談員としても活動している。
HP:https://shimatabi-hotori.wixsite.com/official
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